編集者コラム

2013.07.17

合理性を超えた非常識からイノベーションがうまれる!?

「かゆいところに手が届く」「ありそうでなかった」という新商品なら、結構いくらでもありますが、数年前にiPhoneを手にした時、「これは革命的!」と思えた感覚は新鮮でしたね。

大金持ちになってヘミングウェイみたいにモヒートを飲んで暮らしたい……という野暮な夢は置いておくとしても、できることなら、スティーブ・ジョブズのように、社会をあっと言わせる製品やサービスをつくって、イノベーティブな人として歴史に名を残したいと思ったことはありませんか。

いったい、イノベーションを起こしている人の脳の中はどうなっているのだろう!と思います。

どうも普通ではなさそうですよね。

論理的にものごとを考えて、合理的な結論を出しているだけでは、”普通”もしくは”かゆいところに手が届く”程度の結果しか得られないことは、言われてみれば「まあそうだよなあ」と思います。

事実として、ジョブズやサムスンは次々に”あり得そうにないこと”を成し遂げて時代の寵児となっていきました。結果として出来たモノとしては、技術的にはソニーにもできたはずですし、誰にでもチャンスはあったはずで。
テスラモーターズのイーロンマスクだってそうです。まさか、単三電池を組み合わせて車を作ろうなんて、小学生なら考えつきそうですが、まともな大人が考えそうにないことです。

7月新刊の「合理性を越えた先にイノベーションはある」では、それまでの概念を塗り替えていった野心あふれるイノベーションの正体に迫ります。

少しだけ結論を種あかししますと、ついていきたいリーダーの視線の先には、いわゆる常識的な合理的なことを越えたところにある、「他のみんなには見えなくても私には見える!」ものがあるそうです。これはいわゆる非常識になってしまいます。

私の好きな言葉に「昨日の夢は今日の希望となり、明日の現実となる」という、NASAのロケット開発の祖、ゴダード博士の言葉があります。

常識的な合理性には限界があります。過去に成し遂げたこと以上のことがわからないからです。
しかし、人の命をのせる巨大システムであるロケット開発が少しでも非合理な人にはできないことは明らかです。

途方もなく大きな越えがたいと思われる壁に立ちふさがれていても、その壁の立て方が秀逸で、途方もなく高さを引き上げて、そのような夢物語に対しても合理的な結論を積み重ね束ねるのが、これからのリーダーのあり方なのではないかと、考えさせられる1冊でした。

最近、私も編集長に「本の作り方にイノベーションを!」とよくいわれます。お読みいただく方の教養の高さにお応えできるよう、編集も壁の高さを上げて合理的に積み重ねることを、ちょっとずつ考えていきたいと思います。