マネジメントの本

不確実な時代に勝ち残る、ものづくりの強化書

不確実な時代に勝ち残る、ものづくりの強化書
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著者:
村上悟
定価:
1958円(本体1780円+税10%)
発行日:
2020/3/21
ISBN:
9784295403968
ページ数:
288ページ
サイズ:
188×130(mm)
発行:
クロスメディア・パブリッシング
発売:
インプレス
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本書は、製造業の100年にわたるイノベーションの歴史をたどりつつ、「未知」や「不確実」を制御する方法「ダイナミック・フロー・マネジメント」を解説するのが主眼です。


▼不確実な時代に勝ち残る「特効薬」はあるのか
最近、メディアで「VUCA(ブーカ)」という言葉をよく見かけます。
これはVolatility(変動性)、Uncertainty(不確実性)、
Complexity(複雑さ)、Ambiguity(あいまいさ)の頭文字を取ったもの。
「環境が複雑さやあいまいさを増して、将来の予測が非常に難しい状態にあること」
を指しています。

いま、日本の製造業を取り巻く環境は、これまでにないほど複雑化・個別化し、
かつて「お家芸」だった多品種少量のものづくりのノウハウが通用しない、
「業務そのもの」が不確実な時代に突入しています。
そうした変化に大半の企業が飲み込まれてしまい、
現場が体を張って何とかしのいでいるというのが実態。
競争力は年々低下しているのに、現場は疲弊し切っており、
優秀な人材がバーンアウトして(燃え尽きて)います。
そんな状況で、「こうすればよい」という特効薬はあるのでしょうか。

▼ものづくりの100年史を振り返ると、未来が見える
ものづくりの世界でこの100年余りを振り返ると、まずヘンリー・フォードが
20世紀初頭に「同期生産方式」を確立し、19年間で1500万台もの
T型フォードを生産しました。そのフォードに学びながら、
大野耐一が中心となって「トヨタ生産方式」を打ち立て、
それは「リーン生産」の名で欧米にも広がります。
そして、エリヤフ・ゴールドラット博士がトヨタを徹底的に研究して
「TOC(制約理論)」を生み出し、
世界的ベストセラー『ザ・ゴール』で世に問うたのです。

この本では、この「3人のヒーロー」を中心に、ものづくりの100年史を振り返りながら、
未来に向けて「未知」「不確実」をマネージする方法を考えます。
具体的には、ものづくり企業の経営で必要な3つのフロー
(アクティベーション〈組織化〉・フロー、ナレッジ〈知識〉・フロー、ビジネス・フロー)の
考え方を解説。変化に即応できる経営をしていくためにこの3つのフローを革新する
「ダイナミック・フロー・マネジメント」の手法を解きほぐします。

著者紹介
村上悟(むらかみ・さとる)
ゴール・システム・コンサルティング株式会社 代表取締役。1959年生まれ。大手製造業にて経理・原価計算を担当、社団法人日本能率協会を経て、株式会社日本能率協会マネジメントセンターTOC 推進部にて、チーフコンサルタントとして日本におけるTOC(制約理論)の普及に努めたのち独立し、2002年9月より現職。2006年にインターナショナル・プロダクション・リサーチジャーナルに発表された論文「日本産業におけるTOC の適用― 日立ツールの事例―」は同年のTOC-ICO(International
Certification Organization)でエリヤフ・ゴールドラット博士より紹介され、博士の最後の論文「巨人の肩の上に立って」に直接引用されるなど、世界でもトップクラスの実績を持つ経営コンサルタント。著書は『TOC入門』『在庫が減る! 利益が上がる!会社が変わる!』『問題解決を「見える化」する本』など多数。

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もくじ

はじめに

第1章 不確実な時代をどうコントロールするか
1 起こらない「はず」は必ず起こる
2 ものづくりの進化と企業の目的
3 対照的な「流れ」と「量」の原理 
4 企業の目的を阻害するもの
5 VUCAとものづくりの世界

第2章 ものづくりの「仕組み」の進化と3人のヒーロー
1 へンリー・フォードとフォード・モーター
2 大野耐一とトヨタ自動車工業
3 エリヤフ・ゴールドラットとTOC(制約理論)
4 オペレーション・マネジメントの重要性

第3章 100年変わらない生産の基本 ―「流れ」と「ばらつき」
1 生産現場の厄介な特性―「遅れ」だけが伝わる
2 トヨタ生産方式(TPS)の概要とメリット
3 TOCにおけるドラム・バッファ・ロープの考え方
コラム ばらつきはどう扱うといいのか
4 TOCの着眼と発展―「巨人の肩に立つ」とは?
5 TPSとTOC、要するにどう違う

第4章 大きくなると複雑になる
1 複雑さへのチャレンジ―大野耐一のアプローチ
2 複雑さに対応したTOCの進化
3 複雑さの壁に立ち向かう

第5章 日本人の苦手な「不確実」で「あいまい」なもの
1「あいまいさ」とは何か?
コラム 企業の3つのレベル
2「三現主義」の真意―不確実をどうマネジメントするか
3 未知への対応はイノベーションの鍵
4「不確実」なのは人間だから

第6章 これから日本はどう変わっていくのか
1 国内のものづくりの役割
2 今、現場で起きていること―統制的予算管理
3 生産性を大幅に引き下げている30%の「生煮え仕事」
4 起点は「今」に置く
コラム 科学と宗教

第7章 経営資源をダイナミックに組み替え、投入する仕組み
1「ダイナミック・フロー・マネジメント」の考え方
2 人を育てるアクティベーション(組織化)・フロー
コラム 変革の3つのタイプ
3 ナレッジ・フローで知識の使い捨てと機会損失を防ぐ
4 共創ワークショップの役割
5 モノと情報の流れを革新する「ビジネス・フロー」
6 物理的なフローをどうコントロールするか
7 調達・製造段階(ものづくりの実行)の仕組み

おわりに
参考文献一覧

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