社会・経済の本

いちばんわかりやすい! 新事業承継税制のかしこい使い方

いちばんわかりやすい! 新事業承継税制のかしこい使い方
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著者:
小林満春
定価:
1848円(本体1680円+税10%)
発行日:
2019/6/1
ISBN:
9784295403012
ページ数:
192ページ
サイズ:
188×130(mm)
発行:
クロスメディア・パブリッシング
発売:
インプレス
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中小企業経営者の引退時の平均年齢は70歳前後といわれています。
中小企業庁の推定によると、2025年に代表者が70歳を超える会社は約245万社もあります。
しかもその半数の約127万社が後継者未定とみられ、継ぐ人がいないために廃業・
黒字倒産となる会社も大量に出てくると推測されます。

▼事業承継にかかる相続税や贈与税をゼロまたは少額に抑えられる

そこで、事業承継に悩む中小企業経営者に、承継の選択肢を増やし、
会社を存続・反映させるための制度として、2009年に「事業承継税制」がスタートしました。
これは、事業承継をしたい経営者が、一定の手続きによって後継者を指名し、
その後継者に自社の株を承継していくことで、通常はかかる相続税や贈与税をゼロまたは
少額に抑えられるというものです。
この事業承継税制を活用することによって、利益が残るような会社を経営していて
内部留保が多い場合は、これまでであれば数千万円もかかってきた税金がゼロになったり
少額で済んだりするようになります。

ただ、以前の制度は利用にあたっての制限事項なども多かったため使い勝手が悪く、
経営者には不評で、実際の利用者もあまり多くありませんでした。
そこで、2018年にこれらの使い勝手を大きく改善した「特例措置」が、期間限定の制度として
スタートしたのです(本書のタイトルとしても使っている「新事業承継税制」は、主にこの特例措置を指しています)。
本書では、非常に活用効果が高い一方で、税務上で難しい点も多いこの制度を、
エキスパートの視点でわかりやすく教えるのが主眼です。

著者は税務の中でも難易度が高いと言われる「資産税」専門の税理士として、
20年にわたる豊富な経験を持っています。
またクライアントの9割が富裕層のため、単なる節税の提案だけでなく、
資産形成・資産運用のアドバイスも行っており、本書もそうした実践的な経験・知識に基づく内容となっています。

中小企業の場合、事業承継は個人の遺産相続と一体といってよく、
自社の株式を相続税・贈与税の対象から外せることは、事業を引き継ぐ上で大きな支援となるはずです。
次世代に大切な会社を引き継ぐため、あるいは親世代から大切な会社を引き受けるためにも、
本書をぜひご活用ください。

著者紹介
小林満春(こばやし・みつはる)
さくら東京税理士法人 代表社員・税理士。一般社団法人 事業承継のまどぐち 代表理事。1977 年生まれ。帝京大学卒業後、資産税を専門に扱う大手会計事務所での勤務を経て、2015 年にさくら東京税理士法人を設立。資産税関連のキャリアは20 年に及ぶ。会計事務所勤務時代から大型地主の税務を数多く手掛け、独立後も大型地主及び会社経営者の資産管理アドバイスなどの経験を豊富に持つ。同業の税理士や弁護士・司法書士からの相談も多く、顧問とは別に資産税分野のみセカンドオピニオンの対応も行っている。日本経済新聞をはじめ各種メディアにおいても、相続税の専門家として記事・コメント掲載等多数。

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もくじ

はじめに

序章 特例措置により格段に使いやすくなった事業承継税制
01 特例措置により事業承継税制はこう変わった
02 特例措置はこのように活用できる

第1章 基本的な仕組みを理解しよう
01 特例措置を活用する流れはこうなる
02 特例承継計画の作成から株式贈与の実施まで
03 株式贈与実施後も納税猶予の継続手続きが必要
04 特例措置のさまざまな活用パターン
05 贈与税は暦年課税と相続時精算課税のどちらにすべきか
06 総合的な観点から事業承継税制を検討する

第2章 特例措置を利用するための適用要件とは
01 会社の要件
02 贈与者(先代経営者等)の要件
03 後継者(譲渡を受ける者)の要件
04 持株比率の要件
05 雇用確保の要件

第3章 手続きの具体的な進め方
01 特例承継計画の作成と提出の手続き
02 株式贈与実行と特例贈与認定申請書提出の手続き
03 株式贈与実行時の税務署への贈与税の申告手続き
04 経営承継期間中(5年間)の「年次報告書」の提出手続き
05 納税猶予維持のための税務署への「継続届出書」の提出手続き
06 相続税の納税猶予への切り替え手続き(相続発生時)
07 こんなときは納税猶予が取り消しになる

第4章 特例措置活用のケーススタディ
ケース01 自社株式の相続の有無による相続税納税額の違い
ケース02 自社株式以外の財産の配分で後継者への株式集中を行う
ケース03特例措置を活用して3人の後継者に株式を贈与し税負担軽減
ケース04両親の持株を贈与して後継者の息子に株式を集中させる
ケース05直系親族以外への贈与と相続で遺言を活用する
ケース06資産管理会社だが納税猶予を受けるために3要件を整える

第5章 こんなとき「どうする?」「こうする」
Q1 制度の活用を検討する目安にはどんなものがある?
Q2 資産管理会社でない要件「従業員5人」はパートも含む?
Q3 後継者が決められないとき、後で変更はできる?
Q4 株券不発行会社にしておくとどんなメリットがある?
Q5 先代経営者の説得でよいアドバイスはあるか?
Q6 父母から贈与を受ける際に父だけ相続時精算課税は選べる?
Q7 3代目まで考えたときの制度利用上の注意点は?

第6章 [実践編]ここも一緒に考えておきたい
01 暦年課税と相続時精算課税を比較してみる
02 必ず遺言書を書いてトラブルを防ぐ
03 遺留分対策や相続税対策の多様なやり方を検討する
04 依頼する専門家を選ぶポイント
05 後継者の育成についてどう考えるか

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