自己啓発の本

東京藝大美術学部 究極の思考

東京藝大美術学部 究極の思考
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著者:
増村岳史
定価:
1738円(本体1580円+税10%)
発行日:
2021/6/1
ISBN:
9784295405344
ページ数:
256ページ
サイズ:
188×130(mm)
発行:
クロスメディア・パブリッシング
発売:
インプレス
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もはや「ロジックの積み重ね」だけでは社会が行き詰まり、
将来も不安で、モノが売れず、人も育たない……。
そんな答えのない時代に最重要な「問う力」を育むヒントとして、
東京藝術大学の美術学部を取り上げたのが本書です。

▼ とことんまで「自ら考える」ことを実践する唯一無二の存在

ダニエル・ピンクが「MFA is New MBA」と題した論文を発表したのは2004年。
いま欧米だけでなく日本でも、若手のビジネスパーソンの間で、MBAのように
「MFA(Master of Fine Arts=美術学修士)」への注目が高まっているといいます。
稀少価値があり、かつ現代のビジネスにおいては、
その専門性を活かしてハイパフォーマンスを発揮できるため、
高額なギャランティをもって迎えられることも多々あります。

アートを学ぶことは、言い換えれば「自分ごと化」を突き詰めることであり、
とことんまで「自ら考える」ことが基本になります。
だからこそ、行き詰まりを打破する力を持ちます。
そして、まさにそれを実践している唯一無二の学び舎が、東京藝大美術学部なのです。

通常は似たような偏差値の「似たような学力・思考様式の人々」が集う日本の大学の中で、
同大学の美術学部は特異な存在です。1浪・2浪は当たり前で、40代・50代の学生も見られます。
偏差値でいえば40台から70台までが一堂に会し、競争倍率も日本の大学の平均を大きく上回っています。

入試においても「この学生の思考力・表現力はどのくらいで、どこまで伸びそうか」を見定め、
学生一人ひとりが個性的でユニークな同学部は、「究極のダイバーシティの教材」ともいうべき存在。
社会やビジネスを考える上でも、これからの最重要項目の一つともいえる「多様性」を尊びつつ、
徹底的に思考力を育み、いまや多くの企業も熱い視線を注ぐ同学部の「ユニークさの源泉」は
どこにあるのでしょうか。

「アート」と「ビジネス」の接点を追究してきた著者が、東京藝大美術学部の数多くの卒業生や
現役学生・教員などにインタビューを行いつつ、その秘密に迫るのが本書です。

著者紹介
増村岳史(ますむら・たけし)
アート・アンド・ロジック株式会社 取締役社長。学習院大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。マーケティング・営業を経て映画・音楽の製作および出版事業を経験。リクルート退社後、音楽配信事業に携わったのち、テレビ局や出版社とのコンテンツ事業の共同開発に従事する。2015年、アートと人々との垣根を越えるべく誰もが驚異的に短期間で絵が描けるプログラムを開発、企業向けにアートやデザインを通して脳を活性化し、新たな知覚と気づきの扉を開くアート・アンド・ロジック株式会社を立ち上げ、現在に至る。代々のアート家系で、人間国宝・増村氏の血筋。著書に『ビジネスの限界はアートで超えろ!』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)がある。

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もくじ

はじめに

序章 偏差値教育を「越境」した人たちが集まる唯一無二の大学
出身高校の偏差値で40~70台までが集う日本で唯一の最高学府
アートを学ぶことは「自分ごと化」を突き詰めること
重要なのは「本質的な思考力」
アート思考・デザイン思考はビジネスツールだけではもったいない/本書の構成について

第1章 究極の思考力入試―問われるのは、「自分」とは何か?
そもそも「美大を目指す」というのはどんなことか
バラエティ豊かな合格者、志望者のバックグラウンドもさまざま/1浪、2浪は当たり前

対策の立てようがない、「傾向」のない超難関入試
過去の入試問題はどんなものか/「出題意図」を読んでみる/多浪生が多い理由と、入学年度によって異なる学生のキャラクター

入試から読み解く東京藝大の視点① 「考える」とは何か?
文学部を卒業後に実践を学びたくなり受験を決意/絵を描く時間と同じぐらいの時間を読書に費やし合格/藝大生と一般大学生との違いとは?

入試から読み解く東京藝大の視点② 「自分の表現」とは?
中2の時点で藝大受験を決意/そして、いよいよ受験本番/落ちたら死ぬ―必死のリベンジへ/合格後の自己分析

入試から読み解く東京藝大の視点③ 「感じとる身体性」とは何か?
勉強嫌いの少年はなぜ、藝大を目ざしたのか?/「やんちゃ」な中学生に先生がすすめてくれた進路/美術科高校というカオスで、文武両道ならぬ美武両道を追求/デッサンをする意味とは?/「上手い絵」ではなく「目立つ絵」を描く/かつてない屋外での2次試験、しかも会場は……/過酷な試験最終日/答えが用意されているものに興味が湧かない/考えるよりも感じろ

第2章 何を教わり、何を学ぶのか―ひたすら考え、カタチにしていく4年間
「自己の表現」をひたすら追求していく絵画科油画専攻
入学後の課題は、半年をかけての「毒抜き」と上手い絵からの脱却/ダイバーシティ&インクルージョンな“場”/とある教授の毒のある入学スピーチ「卒業してから地獄が待っている」/卒業単位の7割は実技、作品そのものが単位/破天荒な課題

複数の学科・専攻の学生が学ぶユニークな科目
ユニークな共通科目その1 美術解剖学/ユニークな共通科目その2 古美術研究旅行/多くの学生が絵を描かないで(?)卒業する油画専攻/油画専攻と対極に位置する絵画科日本画専攻

モチーフをリアルに描写する力で合否が決まる日本画専攻
受験デッサンを捨てろ―日本画専攻の場合/日本画の「守」/日本画は矛盾の塊!?/保守的な世界だからこそ生まれるイノベーション/画像を描く意味

何を教え、何を教えないのか―東京藝大名誉教授・佐藤一郎さん
入試は「受験生と大学側との闘い」である/「見守る」という教育方針/テクノロジーが発達すればするほど「手仕事」がより大切になる

第3章「学び」と「気づき」をビジネスに活かす卒業生たち
アーティストからビジネスパーソンへとキャリアチェンジを行った卒業生たち

テクノロジーとアートを統合する経営者の原点は学生時代に―株式会社メディアギルド代表取締役・坂本博史さん
1浪する予定だったのに現役で合格してしまった/プロデュース活動で多忙な「作品を作らない」藝大生/「藝大始まって以来の快挙」を実現/アートの世界から一転、システムインテグレーターの世界へ/入社10年目でのリストラ体験/起業と会社の展開/「キャリアの賞味期限」という考え方

建築科に学び、会社員や起業を経て熟成した非連続キャリア―丸尾経営教 研究室代表・丸尾聰さん
大学院に入学直後に参加させられた「取り壊し反対運動」からの学び/五感で感じる“実測”という授業/建築デザインは論理と時間の設計が重要/建築こそ、アート(芸術)とロジック(論理)の融合/経営コンサルティング会社での3つの気づき/新たな事業分野を立ち上げて起業に至る/シンクタンクの立ち上げメンバーの一員に/リサイクル産業を創出する/のべ500社の新規事業創発に関わったユニークな手法とは?/「広義のデザイン」の実践・先駆者として/非連続キャリアの原動力となる力とは?

助手、アーティストを経て保険会社のトップ営業へ転身―ソニー生命保険シニアライフプランナー・玄 昌國さん
苦学を経て藝大に入学し、助手を経て彫刻家となる/未練なく彫刻家を辞め、ライフプランナーに転身/トップセールマンでありながら問題児/才能の定義/仕事の純度を上げるということ/見ようとしないと何も見えない/重層的な思考と単層的な思考/家庭教育の希薄化で思考が単層化してしまっている/何事も、感じて考える態度(アティチュード)が重要

第4章 これからは「アートフルな人材」が日本を引っ張っていく  
今の高校生に最も欠如しているものとは?
美術科の高校生は目が輝いている!/自らSTEAMを実践するアートフルな高校生/退路を断たなければならない藝大受験

海外の美大入試はどんなものなのか
イギリスのアート教育と美大入試/アメリカのアート教育と美大入試/燃えたぎるような内的モチベーションを引き出すために/思考の重層化と自身の態度(アティチュード)

アートが持つ理力(フォース)
①言語と非言語、具象と抽象を網羅する理力/②好奇心を持ち、問う理力/③熱狂的に没頭できる理力

おわりに 芸術家を活かせない国に未来はない

参考文献

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