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人を動かす「正論」の伝え方

人を動かす「正論」の伝え方
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著者:
藤井聡
定価:
1738円(本体1580円+税10%)
発行日:
2022/9/11
ISBN:
9784295407362
ページ数:
256ページ
サイズ:
188×130(mm)
発行:
クロスメディア・パブリッシング
発売:
インプレス
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譲れない思いを上手に伝える技術! 正しいことを主張する時は「言い方」が10割!


皆さんは「正論」と聞くとどんなイメージを持たれるでしょうか?
「どうもあいつは正論ばかり振りかざすヤツだ」とか、
「正論を言う前に、あなたの本音が聞きたい」などと使われるように、
あまりいいイメージを持たない人も多いのではないでしょうか。
これが欧米などの社会になると、かなり状況が異なります。
「正論」を主張するのは当たり前で、
それが社会のためにもなるのだという確信の下、主張されるわけです。

ところが日本の場合、理屈が正しいかどうかより、
その場の空気や流れを重んじます。
理屈では明らかにおかしいと思うことに対して、
心の中ではおかしいと思っていても声を上げません。

「無理が通れば道理が引っ込む」という言葉があります。
いまの日本の社会を見ると、本来そうであるべき「道理」が
ことごとく端に追いやられ、間違った考えややり方=「無理」が
まかり通っていることがそこかしこに見られます。

皆さんの職場を振り返ってみて下さい。
どう考えてもおかしいと思われるルールや習慣がありませんか?
出張の際のこまごました規定や持ち帰りの残業、恣意的な人事など、
本当ならばおかしいと思われることがあっても、社内で異議を唱える人がいない……。
このままだと組織自体が潰れてしまうし、その前に自分自身が潰れてしまう。
そういう切迫したケースもあるでしょう。

筆者自身、これ以上財務省の好きにさせていたら、日本が潰れてしまう。
とてもこのまま見過ごしておくわけにはいかない──という思いから
「積極財政論」という「正論」を主張し、徐々に賛同者を増やしてきました。

相手が巨大であるほど、それを覆すのは容易ではありません。
部下が上司に対して、正面から正論をぶつけても跳ね返されるのがオチでしょう。
ではどのように伝えれば、相手を動かすことができるのか、
その戦略と法則を本書でじっくり確認してみてください。

著者紹介
藤井聡(ふじい・さとし)
1968年、奈良県生まれ。京都大学大学院工学研究科教授。京都大学工学部卒業、同大学院修了後、同大学助教授、イエテボリ大学心理学科客員研究員、東京工業大学大学院教授などを経て、2009年より現職。2012年から18年まで、安倍内閣において内閣官房参与。2018年よりカールスタッド大学客員教授、並びに『表現者クライテリオン』編集長。著書に、『こうすれば絶対よくなる! 日本経済』(田原総一朗氏との共著・アスコム)、『ゼロコロナという病』(木村盛世氏との共著・産経新聞出版)、『なぜ、日本人の9割は金持ちになれないのか』(ポプラ社)など多数。

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もくじ

はじめに 正しいことほど伝え方が難しい

第1章 正論とは弱者が強者に立ち向かう唯一無二の武器
正論を唱える人間は面倒くさい?
「無理」が通って「道理」が引っ込む日本の社会
財務省の「正義」はいい迷惑
誰も「組織の論理」から外れることはできない
立場が弱い時こそ正論は力を発揮する
「正論」と「レトリック」は違う
人を動かす二つの方法
嘘つきばかりの世の中が嫌で仕方ない
「こうであってほしい」という強い思い
道理から外れたものは正論ではない
本来の目的を忘れないことが大事
『闇金ウシジマくん』を見ることで浮かび上がる理想
『東京物語』に見る戦後日本の歪み
守るべき「ふるさと」から正論が生まれる

第2章 人を動かすために必要な「方便」の使い方
人を動かす最強の力とは?
正しいことや美しいことは共感を生む
専門家の言葉には「真理」がない
情報や権限を独占するために難しい言葉を使う
専門バカが陥る言葉の落とし穴とは?
「正正論」と「邪正論」の違いとは?
「方便」でわかりやすく伝える
「正論」が煙たがられるのは「邪正論」だから
「正正論」を語る上で必要な教養
お題「1万円」で何を話す?
「解釈学的循環」を回すことで正論が成り立つ
恋愛上手な人ほど「解釈学的循環」を回している
たとえるとジャズのセッションのようなもの
自分の理屈に合わないものは見ない
正論とは肯定と否定を乗り越える「柔らかいもの」
正論の根っこには他者への愛がある

第3章 少数派から多数派へ! 正論の「組み立て方」と「通し方」
なぜか意見が通ってしまう人の秘密
相手を「動かす」ことが正論の目的
部下、同僚、上司…立場ごとに違う「巻き込み方」
相手に対するリスペクトが欠かせない
「上司のために」という気持ちが上司を動かす
尻尾を振ってもナメられないことが大事
正論をこれ以上ないくらい磨き上げる
「カテゴライズ」と「絞り込み」が必要
「要するに」を繰り返してブラッシュアップする
純化された正論は物語や音楽に近づく
シンボル=ゲシュタルトを作ることが正論の作業
「デフレ脱却論」における正論の通し方
「対立軸」を民主党の政策に据える
まず誰に伝えるかを決める
上司が採用したくなる装いを施す
「正論」の組み立て方・通し方①
最初の「つかみ」を大事にする
「正論」の組み立て方・通し方②
キャッチーなフレーズを立てる
「正論」の組み立て方・通し方③
数字を適切に活用し、説得力を持たせる
「正論」の組み立て方・通し方④
対立論の「間違い」を公衆にさらす
「正論」の組み立て方・通し方⑤
比喩を使って話をわかりやすくする
「正論」の組み立て方・通し方⑥
対立する論を相対化する
「正論」の組み立て方・通し方⑦
相手に過度な期待をしない

第4章「敵」を説得する前に「味方」を増やすことが大事
── 大阪都構想を阻止した成功体験レポート付き ──
一人でも多くの「他者」を動かすには?
自分と一心同体の「コア層」を作る
ミドル層へのアプローチが勝敗を決する
10分の「立ち話」から頼もしい味方ができる
目的は一度にたくさん持った方が成功する
産業社会で植えつけられた「思考の癖」
ビジネスライクなつき合いからは何も生まれない
「敵」は説得する相手ではない
こちらをバカにする人への対処法
本当の敵は無関心層の人たちだ
実録 私はこうして「正論」を通した! 大阪都構想との長い戦い
大阪でやったことを次は日本全土でやるはずだ
負けたらすべてを失う覚悟で“出陣”
徹底的に戦う姿勢を見せることが大事
嫌がらせの中で私を救ってくれた人は?
最後まで書面で反論しなかった橋下氏
「正論」の強みの本質は臨機応変

第5章 人を動かすには「諦め」「意地」「媚び」が必要
「正論を伝える」時点で負けている
柔らかい言葉でないと伝わらない
下手に敵を増やさないことが大事
相手に「媚び」て「好きになってもらう」こと
執着が強い人は粋には見えない
戦いの中にあって下品にならない言動を

おわりに 「力」で世の中を変えようとする者に「正論」で対抗する

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